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参考 選挙用語

 

○『多数代表制』

多数代表制に属する選挙制度

定数が1

多数代表制を実施する最も単純な方法は多数決を行うことである。多数決で選出される選択肢は一つしかないので、この方法では選挙区定数を1にする必要がある。大統領選など全ての首長選挙が当て嵌まる。小選挙区制については多数代表制#区割りの効果を参照。日本の首相指名選挙も、有権者が議員に限られているだけの多数代表制である。また、多数決の選択肢を候補者ではなく政党にして、選ばれた政党に全議席を与える方法も多数代表制になる。

 

可能連記数の多い連記式投票

大選挙区制などの複数の選択肢が選出される制度でも、可能連記数の多い連記式投票を使えば、選出された異なる選択肢が同一の意志を持つようにすることができる。連記式投票では、得票数の最も多い候補が自分と票田が完全に重なるクローン候補を立てても、有権者は複数の候補に同時に一票を投ずることが出来るのでクローン候補はオリジナルと等しい得票数を得る。このため可能連記数が定数以上である、完全連記式投票や単純な無制限連記式投票では、最強の政党が定数分の自党クローン候補を擁立することによって、大選挙区の議席を一党で独占しがちになる。

 

なお、可能連記数が定数未満でも、(定数/2)以上であれば、政党間の競争により異なる政党でも政策が似て来るかもしれない。

 

利点・欠点

多数代表制の最大の利点・欠点は、当選者間での意思統一が既に済まされていることである。このため、緊急時など議論の時間の無いときや、裁判や内閣など一貫した方針が求められる作業を当選者で分担して処理する時などは、事前準備が殆ど必要ない。一方、あくまで代表している意志は一つだけなので、議会閉会中に議員が地元に帰るような、当選者とその支援者だけの努力に任せる方法では有権者全体の多様な意見を吸い上げるのは不可能であり、選挙のやり直しに近いことが必要になる。議会での議論も多様な見方を欠いたモノになりがちになる。

 

また、首長が一人しかいない行政府は何らかの多数代表制で選出されているため、立法府も多数代表制で選出すると行政府・立法府間の対立が少なくなる。このため、この対立を解消する規定が未整備の国の政治が停滞する可能性を減らすことが出来る。大統領選挙・首相公選などの行政府の直接選挙が無い国でも、国民の行政府への意向を直接反映させるため、立法府を多数代表制で選出する所がある。当然副作用として、行政府・立法府が似たような政党に握られることになるので、三権分立の目的である行政府・立法府間の相互監視機能も落ちる。

 

単記非移譲式投票を用いる場合の性質

Approval votingやSchulzeなどの政党の規模が考慮されない方法を使う場合と違い、選挙方法に単記非移譲式投票を使うものはデュヴェルジェの法則により、二大政党制になりやすい。

 

 

 

○比例代表制

概要

比例代表制は、政党の得票率に比例して議席配分を決定する(または得票率に比例して個人候補者の当選優先順を決める)選挙制度である。このため立候補は政党単位で届け出なければならないはずだが、幾つかの選挙制度は政党を届け出る必要が無いのに比例代表制と認知されている。

 

比例代表制は、相対多数派を優遇し死票を大量に発生させる「小選挙区制」または「多数代表制」の対極にあり、有権者の民意を最大限正確に立法府に反映させる制度である。死票が少ない全国区やブロック制・道州制のような大選挙区が前提になるので、一票の格差による定数是正の必要が比較的少ない。

 

小選挙区多数代表制が大政党、特に二大政党に有利な選挙制度であるのに対して、比例代表制は第三位以下の少数派政党にもその得票率に比例した議席を与える。つまり二大政党政治が必ずしも議会制民主主義の最善の形とは言えないということを前提にしている。これを政党乱立(政局不安定化)と解釈するか、より民主的な制度(専制への予防)と捉えるか、で立場が分かれる。

 

比例代表制への批判としては、選挙民から候補者を選べないという不満が出やすい(政党比例代表の場合)、同じくらいの力をもつ中規模政党が複数ある場合に各政党間に政策の一致がないと政争によって政局が不安定になりうる、強力な政権を生み出しにくい、などがある。

 

これに対して比例代表制を肯定する立場からは、政策重視型の政治を実現できる(政党比例代表の場合)、候補者と選挙民との個人的癒着が起こりにくい(拘束名簿式の場合)、多数代表制・二大政党制は実際には絶対少数派意見に基づく専制政治をもたらす(個々にはより少数である多様な諸意見が不当に封じられる)ので比例代表制の方がシステムとして安全である、自分の意見のみを通そうという考え方ではなく話合いによって他者のことを考えて皆にとって一番いい政策は何か考えることを政権に学ばせる意味で優れた制度といえる、そもそも民意が議席に正確に反映されることは民主主義にとって最大の利点である、などが指摘される。

 

ただ政党内の利権や、中央進出に有利な東京出身者、二世候補者内での個人的癒着が起こりやすく、地方や弱者が見えない政治家が占める傾向になりやすいことには注意が必要である。

 

なお、非拘束名簿式や単記非移譲式投票(大選挙区制)または単記移譲式投票(大選挙区個人比例代表)などの方式では、比例代表制でも個人単位で候補者を選択できる。ただし政党ではなく個人を選ぶことは「候補者同士の競争が起こる」ことと表裏一体であり同じ政党の政治家の同士討ちや候補者と選挙民との個人的癒着を招く、との意見もある。逆に、同じ政党の同士討ちも「その政党を構成する政治家を選挙民が選べる」ことと表裏一体でありそれを完全に防ぐと選挙民(とりわけ政党に所属しない人々)の自由度を下げる、という意見もある。

 

比例代表制はイタリア・オーストリア・オランダ・スペイン・ポルトガル・スイス・ベルギー・スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド・ギリシャ・トルコ・ポーランド・チェコ・スロバキア・ルクセンブルク・アイスランド(政党名簿比例代表)、アイルランド(単記移譲式投票)、ドイツ・ニュージーランド(小選挙区比例代表併用制)など多くの国の国政または地方選挙で採用されている。また、ハンガリー・メキシコ・韓国・日本(小選挙区比例代表並立制)、チリのように、比例代表と多数代表制の折衷方式を導入している国もある。

 

沿革

比例代表制は、19世紀後半にベルギーのヴィクトル・ドントによって考案された。空想的社会主義者のヴィクトール・コンシデランもこの制度を1892年の著書で考案した。スイスのいくつかのカントン(1890年のティチーノ州が最初)で採用された後、ベルギーが国として初めて1900年の国政選挙に名簿比例代表制を採用した。類似した制度が第一次世界大戦の間とその後にかけて多くのヨーロッパ諸国で施行された。単記移譲式投票は1857年にデンマークで初めて採用されて、最古の比例代表制となっているが、デンマークでは本格的に普及しなかった。単記移譲式はイギリスで(独自に)再考案されたが、イギリス議会はそれを退けた。しかし、タスマニア州で1907年に採用されると、そこから広がっていった。単票移譲式はアイスランド共和国で1919年より使用されている。

 

比例代表は、多数代表よりも多くの国で採用されている。欧州議会の全議員が、英国のブロックを含め、比例代表で選出される。比例代表は多くのヨーロッパ諸国でも採用されている。

 

イギリスの議院内閣制に基づく国々とイギリスのウェストミンスター選挙で古典小選挙区制がよく見られる一方で、小選挙区比例代表併用制として知られる比例代表の一種が、現在イギリスにおいてスコットランド議会とウェールズ議会の議員を選出するのに採用されている。

 

 

○小選挙区制

概要

小選挙区制とは、議会などの2人以上の人員を要する機関を構成するとき、定員と同数の選挙区を区分けし、1選挙区毎に1人の当選者を選ぶ選挙制度の総称である。日本では、選挙方法に単記非移譲式投票を用いた単純小選挙区制(First past the post)を指すことが多い。単純小選挙区制については、イギリスで採用されていることで知られる。オーストラリアでは、単記非移譲式投票の代わりに優先順位付連記投票(Instant-runoff voting)を用いた小選挙区制を、フランスでは過半数(50%超)の得票を得た候補がいない場合に12.5%以上の得票を得た候補による決選投票を行う2回投票制(Two-round system)を採用している。

 

このほかにも、Approval voting, Range voting, Borda count, Minimax, Schulze, Ranked Pairs など、定数一人の制度ならば何でも小選挙区制に利用出来る。

 

欠点・利点

小選挙区制は、候補者の票数が接近している場合や、当選できない複数の候補者の票が多数を占めているような場合に、最高得票者だけが当選するので死票が多くなる。また、見方によっては一党制に極めて近い状況も生まれる[1]。候補者と個人の癒着や地域エゴが露骨に国政の場に持ち込まれやすい、同じくらい力のある候補者が立つと場合によっては選挙違反がおきやすい、議員定数が多ければ選挙区の数が多くなり、一票の格差が発生しやすいなどの欠点がある。

 

一方で政権を選択して強力で安定した政権をつくれること、デュヴェルジェの法則の効果により二大政党制を作りやすいので、不満であれば選挙民は最大野党に投票して政権交代を起こしやすくなるので、与党は真剣にならざるを得ないこと、妥協が生まれる余地がないので政策の結果をはっきりと評価でき責任の所在が明確という利点がある。

 

ただし、二大政党の間で妥協や相乗りが生まれれば事実上の一党制となるし、二大政党以外の選択肢を求める結果、小党や第三党が発生する[2]ことがあるので、二大政党がどちらも過半数を取れない場合は、連立与党のうちの小党にキャスティング・ボートを握られ、政権が不安定になりうる。更にデュヴェルジェの法則は全国レベルの二大政党化を保証しておらず、特定選挙区に勢力が集中する小政党は成立しうる[3][4]。また、Approval votingやSchulzeなどの制度は、コンドルセ勝者などの特定の条件を満たす候補ならば最大政党の候補からすら当選枠を奪い、政党規模がほとんど考慮されないので、二大政党に有権者を集約する効果がない。このように、一概に「小選挙区」=政権安定、「比例代表」=小党乱立、政権不安定、にはならない。小党が進出する場合にも、地域エゴではなく、その地域独特の課題や意見を国政に伝える貴重な議席になる場合もある。

 

また、既存政党というより党主流派に勢力が集中して党内部の意見統一が迅速になるという利点もあるが、既存政党内の反主流派や新世代が進出しにくくなり、政党内部の新陳代謝や世代交代が妨げられるため、最悪の場合政党自体がレームダックに陥る欠点もある。

 

性質

各選挙区では1人しか当選できないため、区割りとの相関が低い意見の対立は、議会に持ち込まれにくく、多数代表の性質が強くなる。一方、各選挙区は別々に分かれて選挙を行うため、区割りとの相関が高い意見対立は再現されやすく、少数代表の性質が強い。

 

区割りとの相関が低い問題については、議員の間に根深い対立がないので、審議は速やかに完了し、満場一致で議決が下る場合もある。また、同じく多数代表の選挙方法で選ばれる政府と同調しやすく、政府と議会の対立で国政が麻痺する可能性が低い。

 

区割りとの相関が高い問題については、議員の間に根深い対立が生まれ、審議は平行線に陥りやすく、多数決で決着をつけざるを得ない場合が多い。

 

有権者は選挙区間の移動が容易ではないので、単純な戦略投票に晒されても、比例代表の性質を持ちにくい。このため、ゲリマンダーが行われるなど選挙区の区割りが適切でないと、議会での勢力比と有権者での勢力比が一致せず、直接選挙(大統領制や首相公選制など)で選ばれた政府と対立する可能性が高くなる(ねじれ現象)。

 

単純小選挙区制特有の性質

単純小選挙区制では、選挙方法に単記非移譲式を用いているため、デュヴェルジェの法則が働く。このため、有権者は二大(と、有権者自身が予想する)候補者以外の選択肢を表明しにくくなる。

 

単純小選挙区制において政党の議席数は、政党の得票数に対して三次関数の議席数になることが知られ、これは「三乗法則」と呼ばれる。

 

 

○大選挙区制

概説

大選挙区制は死票が少なく国民の意思を反映させやすいといった長所が多いものの、有権者との距離が遠くなること、多数政党による政治の混乱、選挙費用がかかること[1]、同一政党間における同士討ち問題、金権腐敗体質の招き[2]、補欠選挙も行いにくいことなどの欠点も併せ持っている。

 

但し、これらの特徴は必ずしも全ての大選挙区制に共通した特徴では無い。

 

完全・無制限連記制などの非移譲式多数代表では、小選挙区制と同様に大量の死票が出る。

選挙区間の差異が少なくなるため、多数代表の大選挙区制であれば、小選挙区制以上に小党の進出が困難になり、政治の混乱が少なくなる。このためアメリカでは、一旦導入した大選挙区完全連記制を廃止したことがある。

制限・完全連記制では、支持者の票を過不足無く自党候補で使い切るため、一つの党から連記数分の候補者だけを出すのが主要な戦略擁立となる。このため同一政党の候補者の得票の殆どは共通の有権者によって投票されたモノとなり、同士の得票を減らしても自分の得票を増やすことが出来ず、同士討ちは徒労となる。

また、小選挙区制では大量の死票が出ることから分かる様に、候補者と有権者との距離が遠くなることは、自分に合わない近くの候補者ではなく、自分に合う遠くの候補者に自分の票を託すことが出来ることを意味し、大選挙区制の長所でもある。

 

 

 

○政治資金

政治資金に関する主な規制

政治資金の制限

主に収入に関するもの

政治家への金銭による寄附の禁止(選挙運動に関するもの、政党がするものを除く。)(政治資金規正法21条の2)

会社等による政党等以外の政治団体・政治家への寄附の禁止(政治資金規正法21条)

国または自治体からの補助金受給・出資会社等による政党等への寄附の禁止(政治資金規正法22条の3)

国または自治体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者による選挙に関する寄附の禁止(公職選挙法199条)

国または自治体から利子補給を受けた金融機関から融資を受けた会社等による選挙に関する寄附の禁止(公職選挙法199条)

赤字会社による政党等への寄附の禁止(政治資金規正法22条の4)

外国人・外国団体による政治団体・政治家への寄附の禁止(政治資金規正法22条の5)

政治団体・政治家が受ける寄附の額の制限(政治資金規正法21条の3〜22条の2)

政治資金パーティーの対価の支払額の制限(政治資金規正法22条の8)

主に支出に関するもの

政治家による選挙区内の者への寄附の禁止(公職選挙法199条の2)

政治家の関係会社、後援会等による選挙区内の者への寄附の禁止(公職選挙法199条の3〜5)

選挙運動費用の制限(公職選挙法194条)

政治資金の投機的運用の禁止(政治資金規正法8条の3)

資金管理団体による不動産等の取得の禁止(政治資金規正法19条の2の2)

政治資金の公開

政治家の選挙運動に関する収支の報告書(選挙運動費用収支報告書)の提出(公職選挙法189条)

政治団体の年間の収支の報告書(政治資金収支報告書)の提出(政治資金規正法12条)

政党交付金の年間の使途の報告書(政党交付金使途等報告書)の提出(政党助成法17条)

国会議員の資産の報告書(国会議員資産報告書)の提出(政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律2条)

政治資金収支報告書の支出項目

経常経費

人件費

政治団体の職員の給料や諸手当、健康保険料

光熱水費

電気、ガス、水道の使用料及びこれらの計器使用料等

備品・消耗品費

机、コピー機、自動車、封筒などの購入費や、新聞・雑誌代、ガソリン代

事務所費

事務所の賃料損料(地代、家賃)、公租公課、火災保険金等の各種保険金、電話使用量、切手購入費、修繕料その他これらに類する経費で事務所の維持に通常必要とされるもの

政治活動費

組織活動費

行事費や組織対策費、交際費

選挙関係費

公認推薦料や陣中見舞いなど選挙関連の経費

機関紙誌の発行その他の事業費

機関紙誌の材料費や印刷代、発送費、パーティー開催費

調査研究費

研修会費や書籍購入費

寄付・交付金

政治活動における寄付や会費

その他の経費

借入金返済や貸付金

政治資金規正法

政治資金規正法は、1948年にGHQの指導のもと制定された。終戦後の混迷した政治情勢のもと現出した、政治腐敗と群小政党の乱立に対処するため制定された法律である。

制定当初は政治資金の収支の公開に主眼が置かれ、量的制限は設けられていなかった。

 

改正の歴史

1975年 - 造船疑獄、売春汚職事件、田中彰治事件、共和製糖事件(黒い霧事件)などの汚職・疑獄事件を受けて抜本的に改正された。

寄附の量的制限の導入、個人献金に対する税制上の優遇措置の創設

1992年 - 政治資金パーティーに関する規制が導入された。

1994年 - 衆議院議員選挙における小選挙区比例代表並立制の導入を中心とした選挙制度改革、政党助成制度の創設と軌を一にして、企業・団体献金に関する規制の強化を中心とした大改正が行われた(いわゆる「政治改革」)。

企業・団体献金は、政党、政治資金団体、新たに創設された資金管理団体に対するものに限定

寄附・政治資金パーティー収入の公開の強化

2000年 - 資金管理団体への企業・団体献金が禁止された。

2007年 - 国会議員関係政治団体に関する改正。

文献情報

「欧米主要国の政治資金制度」桐原康栄 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 454 (AUG.4.2004)

 

 

○選挙管理委員会

選挙管理委員会(せんきょかんりいいんかい)とは、執行機関から独立して選挙を管理するために団体内部に設置される機関のことである。選挙を管理する機関の代表的な名称の1つとして用いられており、選管(せんかん)と略して呼ばれることもある。

 

以下では、日本の都道府県・市区町村(区は東京都特別区と政令指定都市における行政区をすべて含む)に設置される選挙管理委員会と、総務省に設置される中央選挙管理会について説明する。

 

中央選挙管理会

中央選挙管理会は、公職選挙法第5条の2に基づき設置される総務省の特別の機関である。衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙における比例区及び最高裁判所裁判官国民審査に関する総合事務と政党交付金受給資格の要件となる政党の法人格に関する審査を扱っている。

 

委員5名から構成され、国会議員以外の者で参議院議員の被選挙権を有する者の中から国会の議決による指名に基づいて内閣総理大臣が任命する。指名にあたっては、同一の政党に所属する者が3名以上とならないようにしなければならない。現在、自民党推薦2名、民主党推薦2名、公明党推薦1名で構成されている。委員長は委員の中から互選される。任期は3年。現在の委員長は坂田桂三。

 

庶務は、総務省が行っており、具体的には選挙関係は自治行政局選挙部管理課、政党関係は同政治資金課が行うものとされている。

 

地方公共団体の選挙管理委員会

この節で、地方自治法は条数のみ記載する。

選挙管理委員会は、行政委員会のひとつで、第181条第1項に基づき普通地方公共団体(都道府県、市町村)に設置されるもの、第252条の20第4項に基づき政令指定都市の区に設置されるもの、及び第283条第1項の適応で特別区に設置されるものである。

 

委員会・委員

選挙管理委員会は、4人の選挙管理委員で組織される。(第181条第2項)

 

選挙管理委員は、選挙権を有する者で、人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもののうちから、普通地方公共団体の議会においてこれを選挙する(同法第182条)。 任期については原則として4年である(第183条第1項)。

 

普通地方公共団体の議会は、選挙管理委員が

・心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は

・選挙管理委員に職務上の義務違反その他選挙管理委員たるに適しない非行があると認めるとき

は、議決によりこれを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。 委員は、この規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。(第184条の2)

 

事務局

都道府県及び市の選挙管理委員会に書記長、書記その他の職員が置かれ、町村の選挙管理委員会に書記その他の職員が置かれる(第191条第1項)。

 

職務

当該地方公共団体又は国、他の地方公共団体その他公共団体の選挙に関する事務及び直接請求に関する事務、地方自治特別法に係る投票に関する事務、最高裁判所裁判官の国民審査に関する事務等を行う。

 

 

 

○公示

公示(こうじ)は、一定の事柄を周知させるため、公衆が知ることのできる状態に置くこと。公の機関が行う場合と、私人が行う場合がある。同様の用語に告示、公告がある。

主な公示の例

公の機関が行う公示

天皇が詔書によって行う国会議員の総選挙(衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙)の施行の公示(日本国憲法第7条4号、公職選挙法31条4項5項、32条3項)

土地鑑定委員会による標準地の正常な価格の公示(公示地価、地価公示法2条1項)

文部科学大臣による学習指導要領の公示(学校教育法施行規則38条、52条、74条、84条等)

文部科学大臣による被占領地域流出文化財の指定の公示(武力紛争の際の文化財の保護に関する法律4条4項2項)

公示送達(民事訴訟法110条以下)

不動産登記法、商業登記法などに基づく登記

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律に基づいて行われる債権譲渡登記

行政手続法38条以下に定める意見公募手続等(パブリックコメント)

非訟事件手続法141条以下に定める公示催告

廃止されたもの

高額納税者公示制度(長者番付)

私人が行う公示

一般旅客定期航路事業者による運送約款・運賃等の公示(海上運送法10条)

著作権等管理事業者による管理委託契約約款・使用料規程の公示(著作権等管理事業法15条)

 

 

 

○告示

告示(こくじ)とは、国や地方公共団体などの公の機関が、必要な事項を公示する行為又はその行為の形式をいう。

 

告示の種類

告示を行う機関による種類

国の告示

・内閣の告示

・内閣府の告示

・各省の告示

・外局(庁・委員会)の告示

・裁判所の告示

・その他の告示

地方自治体の告示

・根拠法令による種類

国家行政組織法、地方自治法、公職選挙法、国籍法、土地収用法、都市計画法、不動産登記法、商業登記法等、公法・私法を問わず数多くの法令において一定の場合に一定の事項を告示するべきことが定められている。

 

告示の方法

告示は、以下の方法により行われる。

 

国の機関の告示は、官報に掲載する方法によって行われる(その後法令全書にも収録される。)。

地方公共団体の機関の告示は、その地方公共団体の公報に掲載する方法によって行われる。

告示の法的性質

告示の法的性質は、

・法令を補充する法規(学習指導要領)

・行政機関内部の行政規則

・一般処分

・事実行為

・上記の複数の性質を同時に持つもの

など様々の性質のものがあるため個別に判断する必要がある。

 

法令としての性格を持つ告示は必要に応じて「改正」されたり「廃止」されたりすることがある。例えば「現代かな遣い」(昭和21年内閣告示第33号)及び「送り仮名の付け方」(昭和48年6月18日付内閣告示第2号)は、常用漢字(昭和56年10月1日内閣告示第1号)の制定に伴っては昭和56年10月1日内閣告示第2号及び昭和56年10月1日内閣告示第3号によりそれぞれ一部改正されており、また「常用漢字」(昭和56年10月1日内閣告示第1号)はその冒頭で「当用漢字」(昭和21年11月16日内閣告示第32号)のほか「当用漢字別表」(昭和23年2月16日内閣告示第1号)、「当用漢字字体表」(昭和24年4月28日内閣告示第1号)、「人名用漢字別表」(昭和26年5月25日内閣告示第1号)、「当用漢字音訓表」(昭和48年6月16日内閣告示第1号)及び「人名用漢字追加表」(昭和51年7月30日内閣告示第1号)を廃止する旨定めている。

 

 

 

○選挙権

選挙権(せんきょけん)とは参政権のうちの1つであり、選挙人の資格すなわち選挙に参加できる資格もしくは地位を指す。これは選挙において投票する権利(投票権)のみならず、選挙人名簿への登録や選挙の公示を受ける権利などを含み、広義では被選挙権(選挙の候補者となる権利)を含める場合がある。また、選挙における議員定数に著しい不均衡が生じた場合に、選挙人がその是正のための立法措置を求める権利も含まれるとされている。

 

選挙権の本質

今日では国民主権の原則から、国民は主権者としての主権行使の一環として選挙に参加できるとする選挙権権利説(せんきょけんけんりせつ)が有力であるが、古くは選挙人団(選挙人の集団)の一員としての公務の一環として選挙に参加する選挙権公務説(せんきょけんこうむせつ)も有力であった。

 

前者の解釈をとった場合には、全ての国民は主権者としてそれぞれが平等の権利を有するために普通選挙が原則となるが、後者の解釈をとった場合には公務を執行するに相応しいと認定された者にのみ選挙権の付与を限定してもよいとする制限選挙の肯定を導き出す事も可能であった。

 

なお、日本においては清宮四郎が唱えた「権利・公務両方の側面を有する」とする選挙権二元説(せんきょけんにげんせつ)も有力学説として存在している。

 

選挙権と年齢

選挙権の年齢については、15歳(イラン)、16歳(ブラジル等)、20歳(日本等)、21歳(マレーシア等)様々であるが、18歳以上に選挙権を与えているケースが圧倒的に多い。また、アメリカなどのように州によって選挙権の年齢が違う国もある。

 

日本においては、1889年に大日本帝国憲法及び衆議院議員選挙法が公布され、一定以上の財産を持つ25歳以上の男子に選挙権が与えられ、数度の改正を経て、1925年に25歳以上の男子全員に選挙権が与えられた[1]。その後、1946年に日本国憲法が公布され、20歳以上の男女と定められており、現在まで改正がなされていない。

 

2007年に公布された国民投票法では、投票権は18歳以上の者と規定されているが、公職選挙法上の選挙権が改正されるまでは20歳以上の者しか投票できないこととなっている。

 

一部、選挙権は年齢が基準ではなく、納税の有無を基準にするのが筋であるとの指摘がある。また年金生活者は企業に例えると退職したのと等しく、現役世代と全く同じ投票権を持つことに対して疑問を呈する声がある。また生活保護・雇用保険等や補助金の受給者等も選挙権の制限を議論すべきとの指摘がある。

 

日本の法令上の選挙権の規定

選挙の種類と選挙権

国政選挙(衆議院議員総選挙・参議院議員通常選挙)

日本国民で年齢満20年以上の者(公職選挙法9条1項)

都道府県知事・都道府県議会議員選挙

日本国民で満20歳以上であり、引き続き3カ月以上その都道府県内に住所のある者

市区町村長・市区町村議会議員の選挙

日本国民で満20歳以上であり、引き続き3カ月以上その市区町村に住所のある者

選挙権を有しない者

例外的に選挙権を有しない者については、公職選挙法11条1項・252条、政治資金規正法28条に規定がある。

・成年被後見人

・禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者

・禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)

・公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間を経過しない者。または刑の執行・猶予中の者

・選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者

・公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者

・政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、被選挙権が停止されている者

なお、第二次世界大戦前は、破産者、貧困により扶助を受けている者(例外として、軍事扶助法による扶助がある)、住居のない者、6年以上の懲役・禁錮に処せられた者、華族当主、現役軍人、応召軍人にも選挙権が与えられなかった。

 

 

○被選挙権

被選挙権(ひせんきょけん)とは、参政権のうちの1つであり、当選人の資格すなわち選挙を経て公職に就任する資格もしくは地位を指す。被選資格(ひせんしかく)とも称する。なお、選挙権と被選挙権が同じ要件の選挙を互選(ごせん)と呼ぶ。

 

被選挙権の本質

被選挙権を選挙権によって認められた選挙に参加する権利の一環である「立候補の自由」とみなす見解がある一方で、選挙を通じて当該公職に相応しい人物を選び出すのが選挙の目的であるとして、被選挙権を権利そのものではなくて権利能力とする見方を採用して、選挙で選ばれた場合に公職に就くことを許される資格と捉える見解もある。そのため、選挙権と異なる要件を付される場合があり、その場合には選挙権よりも要件が狭くとらえられることとなる。

 

日本の法令上の被選挙権の規定

選挙の種類と被選挙権

・衆議院議員総選挙:日本国民で年齢満25年以上の者(公職選挙法10条1項1号)

・参議院議員通常選挙:日本国民で年齢満30年以上の者(公職選挙法10条1項2号)

・都道府県議会議員:その選挙権を有する者で年齢満25年以上の者(公職選挙法10条1項3号)

・都道府県知事:年齢満30年以上の者(公職選挙法10条1項4号)

・市区町村議会議員:その選挙権を有する者で年齢満25年以上の者(公職選挙法10条1項5号)

・市区町村長:年齢満25年以上の者(公職選挙法10条1項6号)

※それぞれの年齢は選挙の期日により算定する(公職選挙法10条2項)。

 

被選挙権についての消極的要件

公職選挙法第11条の規定により、次に該当する場合は、被選挙権の資格がない。

・成年被後見人

・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者。

・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)。

・公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間の経過後披選挙権は10年間を経過しない者、またはその刑の執行猶予中の者。

・選挙等に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者。

・公職選挙法11条・11条の2・252条に定める選挙に関する犯罪により選挙権、被選挙権が停止されている者。

・政治資金規正法28条に定める犯罪により選挙権、被選挙権が停止されている者。

選挙の争点と被選挙権

被選挙権の要件が不適切だと、幾つかの政治課題が選挙の争点として有権者に提示されず、それらの政治課題について有権者の総意とは異なる選挙結果が生じる場合がある。

 

多くのスターリン主義的国家などでは、被選挙権の要件に現政権政党への支持が含まれているため、他の政党が進出することがない。

民主制を敷いている国でも(中選挙区制・古典小選挙区制などの)小さな定数の選挙区での単記非移譲式投票を選挙方法に選ぶと、デュヴェルジェの法則により「投票前の得票率予測で上位何位以内にいること」が被選挙権の要件に暗黙で含まれる。すると、実質的な候補者=選択肢の数が限られる。一回の選挙では(選択肢の数-1)個の争点しか提示出来ないから、政治課題が多いと、他の課題と抱き合わされたりして曖昧になったり、切り捨てられてしまう。

 

 

 

○有権者

有権者(ゆうけんしゃ)とは、権利を有する者のことであり、特に選挙権を有する者を指すことが多い。

 

日本における有権者数

日本においては「20歳以上の者 ≒ 選挙権を持つ有権者」とされ、その総数は1億人強でこれは日本国民全体のおよそ80%あまりを占める[1]。

 

国民全体の8割が有権者(20歳以上の物)で占められることから、選挙の報道でも「国民の声を〜」などと聞かれ、あたかも「国民 = 有権者」であるかのように混同されがちだが、

 

国民

年齢・性別・居住地による区別を原則的に行わない。

有権者

20歳以上のように年齢の下限がある(有権者には年齢の上限は設けていない)。

のように明確な区別があるため、「国民」と「有権者」は同義ではない。しかし、憲法第43条に「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と規定されており、国会議員は非有権者を含めた全国民の代表とみなされる。

 

公職選挙法第9条と第11条で、選挙権に関する規定がある。

 

その他

日本の選挙において、有権者の居住地域のことを田圃に例えて「票田」という。また、都市部など人口が集中する場所は「大票田」と呼ばれ、選挙における重要な地域して注目される。

また政治家が地元に帰って、支持者回りをすることを「田の草刈り」という。自分の票田に他の候補者という雑草を摘み取る意味として使われている。国会会期中の国会議員が金曜日の国会日程が終わると夜に地元選挙区に帰って休日(土曜日と日曜日)と月曜日(衆議院においては定例では本会議が開かれない)に地元選挙区回りをして火曜日の朝に国会議事堂がある東京に来るスケジュールについて「金帰火来」という言葉が使われる。

 

 

○選挙人名簿

選挙人名簿(せんきょにんめいぼ)とは、選挙人の資格を公証する目的で、選挙人の氏名を登録した名簿である。

 

概説

公職選挙法(昭和25年法律第100号)19条以下に規定する。この名簿に登録されていない者は投票できない。しかし、名簿は選挙人の資格を公証するだけで、その資格を与えるものではないから、たとえ登録された者でもその資格の無い者または選挙当日に選挙権の無い者は投票できない。

 

選挙人名簿は市町村選挙管理委員会が調製保管する。

 

名簿の作製

選挙人名簿の作製主義には「随時主義(選挙の都度、作製される)」と「据置主義」がある。登録にも「選挙管理委員会等が職権で登録するもの」と「各人が申告して登録するもの」などの区別がある。

 

日本の現行選挙人名簿は永久据置主義(永久選挙人名簿)と職権登録の名簿である。永久選挙人名簿とは一旦登録されると、死亡・国籍喪失・区域外への転居等のために抹消されるまでその登録が永久に効力を持つ名簿を言う。なお、引き続き3ヶ月以上市町村の住民基本台帳に記録された者が職権によって名簿に登録される。この永久選挙人名簿は、国政選挙であると地方選挙であるとを問わず公職選挙法の適用される全ての選挙に使用される。

 

また、地方自治法による住民投票や最高裁判所裁判官の国民審査、検察審査会についても使用され、更に、裁判員候補者予定者名簿を作製するためにも用いられる。

 

その他

選挙人名簿と似たものに在外選挙人名簿がある。これは2000年(平成12年)から開始された在外選挙(衆議院・参議院議員選挙に限り認められた日本国外での投票)で用いられる。

 

在外選挙人名簿も永久据置主義の名簿であるが申告登録の名簿であり最終住所地の市町村選挙管理委員会が調製保管する。

 

 

○投票率

投票率(とうひょうりつ)とは有権者総数に対する投票者の割合。

 

概要

投票率はその地域における投票参加の意識の度合いを表すものとして使用されている。

投票率が低いほど、組織票の割合が大きくなり、浮動票の割合が少なくなる。

独裁国家では形式的な選挙で自らの政権を正当化するために、国民を動員した上で強制的に自政権に投票させて高い投票率となる事例がしばしば見られる。かつて北朝鮮が100%に近い投票率であることがギネスブックに載ったことがある。

 

先進国・民主主義国ではオーストラリアが投票率90%を超えている。これは、棄権者に罰金を課する義務投票制を採用していることが影響しているとされる。

 

日本における投票率に関する記録

衆議院議員総選挙

制限選挙時代

最高投票率 1890年(第1回) 93.91% ※全体でも最高

最低投票率 1894年(第4回) 84.84%

男子普選時代

最高投票率 1930年(第17回) 83.34%

最低投票率 1937年(第20回) 73.31%

完全普選時代

最高投票率 1958年(第28回) 76.99%

最低投票率 1996年(第41回) 59.65% ※全体でも最低

参議院議員通常選挙

最高投票率 1980年(第12回) 75.54% ※衆参同日選挙

最低投票率 1995年(第17回) 44.52%

※補欠選挙・設置選挙・再選挙を除く

 

都道府県知事選挙

最高投票率 1951年島根県知事選挙 95.10%

最低投票率 1981年千葉県知事選挙 25.38%

最低投票率

選挙によっては最低投票率が規定されており、投票率が一定を超えない場合は投票を無効とする場合がある。

 

日本では最高裁判所裁判官国民審査や地方自治体の住民投票条例において、最低投票率を設定している。最低投票率は最高裁判所裁判官国民審査では1%、地方自治体の住民投票条例では最低投票率が存在する自治体では概ね50%である。

 

韓国やロシアなどでは憲法改正の国民投票を実施する場合、最低投票率を超えることを憲法で要件としている。

 

一方で、最低投票率の導入はボイコット運動で投票を無効にすることが可能であるため、投票反対派のボイコット運動を誘発するとして反対意見もある。

 

日本で憲法改正国民投票法を制定する際、護憲派を中心に最低投票率の導入が主張されたが、最低投票率は導入されずに制定された。



※内容については、ウィキペディアより抜粋しています。